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愛と幻想のファシズム

01.08.09 | Comment?

愛と幻想のファシズム」は、村上龍の長編政治経済小説です。舞台は1980年代前後の日本で、世界的な金融危機や恐慌が巻き起こる中、コングロマリット企業群、「ザ・セブン」に立ち向かう、若きカリスマ鈴原冬二、ゼロこと相田剣介入率いるファシスト政治結社、「狩猟社」が暗殺やサイバーテロなどの様々な謀略を駆使して、最終的には日本の政権を手中に収めるという結構過激なストーリーです。

初めてこの本を読んだのは、確か高校1〜2年生くらいで、当時は政治・経済に関する知識を殆ど持ち合わせていない残念な子だったので、主人公トウジのカリスマな言動を単純にかっこいいと思うくらいでした。年末、実家に帰省するときに、暇つぶしに何か小説でもと何となく手に取ったのがこの本。もう読むのは10回目くらいなのですが、読む度に新たな発見や面白みがあります(上巻しか持って帰らなかったのですが、どうしても続きが読みたくなって地元の本屋で下巻を買ってしまった)。逆にこの歳になると、最初は圧倒的だった政治や経済のダイナミズムも少し薄っぺらく感じしてしまいますが。

トウジや狩猟社が唱える、「適者生存」という政策(価値観?)は痛快でもあり、自分への戒めにもなります。最近話題の「派遣村」なんて、狩猟社に言わせたら、「あいつらは努力もしない奴隷達のくせに、平気で生活の安定を求める。あんな弱者を甘やかしたり、助けたりするのにはもううんざりだ」といった感じの過激な発言になりそうです。

村上龍というと、処女作の「限りなく透明に近いブルー」の印象が強過ぎて毛嫌いする人が多いようですが、現在の日本の政治に絶望している方は、”エンターテイメント小説”としてこの本をお薦めします。(「限りなく〜」は僕も読みましたが、あれはあれで、主人公の心情や主観などを徹底的に排除した客観的・映像的・視覚的な描写が面白いと思いますけどね)

さて、物語の最後には、カストロなどのゲリラについてこんな表現があります。これを読んで、Googleのファウンダーであるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンを思い浮かべるのは僕だけでしょうか。

彼らは無邪気で、真剣で、途上にあって、若くて、しかも現実にはすでに権力を握ってるんだ、スピードの頂点にいるわけさ

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